なぜ、今、クリスマスツリーなのか………。

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なぜ、今、クリスマスツリーなのか………。
 
 
 
 
ミズ ビーがいなくなってから、『 不思議なこと』が多く起こるように成った。
 
 
『 アイランドで聞いた犬の声』

 

aoifox.hatenadiary.com

 

のタイミングが、あまりにも良かったのも、その声がミズ ビーを思わせるような声だったのも、彼と彼女にとっては、
 
 
まさか………、そんなことが………、
 
 
と思いながらも、そう言って否定する自信も気持ちも無かった。
 
 
そのために、その後、もう声が聞こえないことを確認してから、ほとんど車が走っていない真っ暗闇の中を走る車の中でも、彼らは、ひたすら無言だった。
 
 
彼女は、そのことを想い出しながらブログに載せた後、彼の声に気付くまで、濡れた目をティッシュに、しばらく押し付けていた。
 
 
気がつくと、彼は、彼女を見下ろすようにして立っていた。
 
 
そして、
 
 
「 俺、寝るよ。」
 
 
そう言った。
 
 
「 私も、すぐ、寝るつもり 」
 
 
彼に涙を見せたくなかったので、彼女は、顔を隠すようにして、下を向きながら、そう言った。
 
 
彼は彼女が泣いていたのに気付いたにちがいない、
 
 
けれど、彼は、それについて何も言わず、ベッドルームへと消えた。
 
 
ミズ ビーがいなくなってから、彼が彼女が泣いているのを見るのは日常の出来事となった。
 
 
それゆえ、もう特別に驚くような事ではなくなってしまったのもあって、彼は、彼女が、なぜ泣いているかを訊く事は無くなった。
 
 
彼女は、それを、彼の優しさとして受けとめている。
 
 
そして、彼をも悲しい気持ちにさせて申し訳ないと思いながら、泣きたい時に泣かせてくれることに感謝している。
 
 

彼のいたベッドに体を滑らせるようにして入れて、彼の腕に、しがみつきながら、彼女は、

 
 
「 ミズ ビーに会いたいよー。会えないとわかっているけど、会いたくてたまらない。」
 
 
そう言った。
 
 
「 わかる、わかるよ 」
 
 
彼は、そう言って溜め息を漏らした。
 
 

その夜、彼女は、思ったよりも早く眠りについた。
 
 
彼女は、彼のいた方に横向きになって寝ていたが、数時間後、背中の方に気配を感じて、飛び起きた。
 
 
後ろを振り向いて見たのは、ライトが散らばったようにして輝いているクリスマスツリーのようなものだった。
 
 
真っ暗な部屋の中で、あまりにも輝いている光を見つめれば見つめるほど、そのイメージは薄れて行き、すぐに光を一つも見ることは無くなった。
 
 
その後も、彼女は、まぶしいぐらいに輝いていたクリスマスツリーのあった方を目をこらして、しばらく見つめたが、もう見ることは出来なかった。
 
 
光は、全て丸かった。
 
 
もし、それが二つの光だったら、彼女は、ミズ ビーの目だったのかもしれないと思ったかもしれない。
 
 
しかしながら、所狭しと寄り添いながら輝く光の群れは、彼女を、それ以上の意味を持つような気にさせた。
 
 
眠っている彼を起こそうかと思って見つめたが、起こして、彼女が見た光で輝くクリスマスツリーの事を言ったとして、彼が、それなりに寝ぼけながらも信じたとしても、何と言って良いか戸惑うだろうと思い、そうしなかった。
 
 
そして、なぜ、今、クリスマスツリーなのかと、彼女は考え出した。
 
 
確かに、寝ていた時に、背中を触られたような気配を感じた。
 
 
夢を見て飛び起きるのとは違っていた。
 
 
ミズ ビーが亡くなってから、気配を感じて飛び起きることが多くなった。
 
 
その時に、何かが見える時もあったし、見えないこともあった。
 
 
けれど、あれほど明るく眩しく照り付けるようにして輝くイメージを見た事は無かった。
 
 
彼女が不思議に思えたのは、そればかりではなかった。
 
 
このスプリングからサマーに向かう季節に、クリスマスツリーと言うのは、どう言う事なのだろうか?
 
 
彼女は、真っ暗な部屋の中でクリスマスツリーが見えた辺りをひたすら見つめながら考えていたが、いつの間にか寝てしまい、明るくなってから、彼の、
 
 
「 出かけるから 」
 
 
の声で目がさめた。
 
 
そして、全てが見える部屋で、また、クリスマスツリーが見えた辺りを見つめた。
 
 
ミズ ビーは、2014年のクリスマスを彼と彼女と一緒に迎える事は出来なかった。
 
 
クリスマスまで、もうちょっとと言う時に亡くなってしまったからだ。
 
 
それゆえ、2013年のクリスマスが、家族みんなで過ごす最後のクリスマスとなった。
 
 
彼女は、その時の事を思い出していた。
 
 
ミズ ビーの健康状態は、その数年前から日増しに衰えて行った。
 
 
日暮れに外に出すと、出来るだけ高い位置まで歩いて、ただひたすらサンセットの眩しい光を涙目で見つめていた。
 
 
彼女が、ミズ ビーの横にしゃがむようにしてピッタリと体をくっ付けて、一緒に、それを見る事もあった。
 
 
そして、帰って来てから、
 
 
「 ミズ ビーね、ほら、見て見て! 綺麗でしょう? でも、とっても短い時間でしょう? 美しい時は長くは続かず、やがては終わりを告げるの………… って、私に教えようとしているみたいだった。  」
 
 
と彼に言った事があった。
 
 
ミズ ビーの最後のクリスマスは、雪のある所で一緒に過ごした。
 
 
ホテルの外には、とても大きなクリスマスツリーがあって、暗くなってから、ミズ ビーを外に出すと、ツリーをクリスマスライトが囲むようにして眩しく輝いているのが、より一層、ハッキリと見えて、ミズ ビーは足を止めて、ひたすら見つめていた。
 
 
彼女は、そんなミズ ビーを見て、
 
 
来年も、一緒に、こうして、クリスマスツリーを見ることが出来るだろうか?
 
 
そう思って、そのツリーが、なぜだか特別に思えた。
 
 
もしかしたら、
 
 
 
ミズ ビーにとっても、
 
あの時の、
 
一緒に見た、
 
眩しいぐらいに輝いていたクリスマスツリーは、
 
特別だったのかもしれない…………。
 
 
 
そして、
 
 
ミズ ビーのいないクリスマスは、これからも、辛いものと成るだろうではなく、ミズ ビーとの美しい想い出を思い出す特別な日に成るように彼女には思えた。
 
 
 
 
 
☆  読んでいただいて、ありがとうございました。