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落とした玉ねぎ

 
彼女が、キッチンで、久し振りに、玉ねぎを刻んでいたら、いつも通り、ちょっと床に落としてしまった。
 
あっ、いけない!
すぐに取らなきゃ、、、、
 
そう思いながら、彼女は、ミズ ビーが、その近くにいないかを確認した。
 
あっ、、、、
もう確認しなくてもいいんだ。

玉ねぎを落としても、ミズ ビーが取って食べる心配を、もう、しなくていいんだ。

 
そう思うと、気持ちが沈んだ。
 
ミズ ビーは、彼女がキッチンで料理していると、いつも、そばに来て、彼女の行動を見つめていた。
 
犬が食べたら致命傷になる玉ねぎは、絶対に、ミズ ビーに食べて欲しくなかったので、玉ねぎを切りながら、いつも、彼女は、神経質になった。
 
「 絶対、拾って食べちゃダメだよー! そこに、ステイしていなさい!」
 
ミズ ビーの目を鋭く見て、彼女は、そう言っていた。
 
ミズ ビーは、彼女の真剣さにビビるようにして、両耳をピターッと下げて、彼女を見つめていた。
 
彼女が、玉ねぎで目がしみて、涙を流していると、ミズ ビーは心配して、彼女に近づこうとするので、
 
「 大丈夫! マミーは悲しくて泣いているわけじゃないから! 心配しないで!」
 
彼女は、笑いながら、そう言っていた。
 
そして、書斎にいる彼を大声を出して呼んで、事情を話して、ミズ ビーを見ていてもらった。
 

今は、

 
玉ねぎを切って落としても、
神経質になって、すぐに拾う必要も、書斎にいる彼を呼ぶ必要も無い。
 
泣いてても、玉ねぎを切っていれば、誰も心配しないだろう。
 
朝、起きてから、キッチンに行くと、前夜に落として、そのままにして放っておいた玉ねぎの破片が、きれい、サッパリ、無くなっていた。
 
彼は、何も言わなかった。