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愛犬が教えてくれた生きる事の大切さ



同僚の妻の急死を知って、彼は、他人事では無い、自分自身にもありえる事だと急に思って、彼女の前でも冷静さを失っていたが、彼女は、自分でも信じられないぐらい冷めていて、

 
急死であろうが、そうでなかろうが、人も動物も、いつかは死ぬんだ。
どう死ぬかは、誰も予想できない。
 
そんな風に思った。
 
ミズ ビーが亡くなる前だったら、彼女も彼のように思ったかもしれない。
 
しかしながら、若い頃はエネルギーの塊みたいで、年老いる事も、ましてや死んでしまう事も、考えられないほど強い存在だったミズ ビーが亡くなって、彼女の死に対する感じ方が、少し変わったようだ。
 
ミズ  ビーを焼却する場所に向かう車の中で、彼女は、彼に、こう言った。
 

「 私ね、いつも、いつか死ぬんだ。そして、どう死ぬかも、わからない、そう考えて、怖くて、怖くて堪らなかった。自分だけじゃなくて、両親の死の事を考えても、夜、眠れないほど怖くなって仕方がなかった。考えても仕方ないって、わかっているのに怖くてね。だけどね、こうして、ミズ ビーが亡くなってしまって、不思議と怖く無くなった。怯えてても仕方がない。せっかく頂いた命を、そんな風にして虐めちゃいけないって思った。」

 
彼は、驚いた顔をして、彼女を一瞬見たが、何も言い返さなかった。