拷問



彼女が、窓から外を見ながら、
 

「 あ〜っ、かっわいい〜! シッポを振りながら、挨拶しあっている〜! 似ているけど、同じ母親から産まれたのかなぁ? 」

 
そう言った。
 
彼が、彼女の後方から、
 
「 犬かー? 犬を見ているのかー?」
 
と言った。
 
彼女は顔だけ彼の方に向けて、嬉しそうに微笑みながら、頷いた。
 
彼は、手をおでこの上に乗せて、天井を見るようにして、
 
「 拷問だ。この辺りは犬を飼っている人間が多い。俺たちは犬が好きで飼いたいのに飼えない。そして、他人が犬と楽しそうに一緒に歩いているのを、こうして、見たくなくても見なければいけない。拷問としか言えない。」
 
そう言って、溜め息をついた。