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そして、彼からの言葉



彼女がミズ ビーと住んでいたアパートを通り過ぎて、車がホテルに着いて完全に止まるまで、壊れたと思ったクーラーは、まるで、それが嘘だったかのように、元のクーラーに戻り、彼女の顔に、心地良い冷たい風を当てた。

 
それが、翌朝からは、また、風が出なくなってしまった。
 
彼は、
 
「 俺は思うんだ。これには、ミズ ビーが関係していると。憶えているだろう? ミズ ビーが、君の車に乗ると、あそこに鼻を付けて、出て来る風を嗅ぐのが好きだった事? そのために、出て来る風を止めちゃって。」
 
彼女は、
 
「 うんうん、そうそう! 私達、それを見ながら、『 ミズ ビー、ドラッグ、嗅いでるみたいだ〜! ドラッグ、嗅げ!嗅げー!』とか言って、いつも、大笑いしたよね〜!」
 
笑っている彼女とは反対に、彼は、深妙な顔で下向きになって、
 
「 ミズ ビー、パピー時代の君と一緒に暮らしたアパートの近くに行って、嬉しかったんじゃないかなぁ〜、、、、クーラーの風が出たのは、すぐ見た後からだっただろう? 」
 
彼女は、思いもしなかった彼の言葉に驚きながら、
 
「 と言う事は、ミズ ビー、私達と一緒に車に乗っていたってことよね? それも、私のすぐ近くで、窓際のクーラーから出て来る風を嗅いでいたのかもしれない。」
 
そこまで言うと、彼は、渋い顔をして、黙って頷いた。
 
そして、
 
「 風が出たのは、君に、あそこに連れて行ってくれて、ありがとうって伝えたかったのじゃないかなぁって思うんだ。」
 
そう言った。