読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

連休

サンクスギブィングの連休は、彼と彼女は、何をしていいのか、ちょっとだけ途方にくれた。

 
2人ともターキーを料理したこともなければ、買ったことも無く、ましてや、ターキーを食べに来て下さいなどのインビテーションなどもあるはずが無かった。
 
祭日だからと言って、アメリカ中の多くの人達がしている事をしなくちゃいけないなどと思う2人ではなかった。
 
しかしながら、彼女は、せっかくの2人の連休に、週末と同じことをするのは勿体無いように思った。
 
「 ねぇ、ドライブしようよ!」
 
そう言うと、彼は、ちょっと驚いたような顔をして、
 

「 どこに? 行きたい所でもあるのか?」

 
と、元気無さそうな声で呟くように言った。
 
独身の時は、どんなに遠くに住んでいても、飛行場が混雑していても、飛行機の乗り換えがあっても、サンクスギブィングの家族のディナーテーブルにはついていた彼だったから、口に出して言わなくても、家族のことを思っているのかもしれない、
 
彼女は、彼の顔の表情から、そんな風に推測しても、それには触れず、
 
「 海が見える所に行きたいの。ミズ ビーがいた時は、サンクスギブィングの連休は、一緒に車を使って出かけたじゃない?! どこにも出かけないのはおかしいような気がする。。ミズ ビーも出かけたいんじゃないのかなぁ? 、、、、ミズ ビーに出かけようよ〜って急かされているような気がして。。。」
 
そこまで言うと、彼は、彼女の目を見て微笑んで、
 
「 そうだったよなぁ、本当に車で出かけるのが好きなやつだったよなぁ。」
 
正直言って、彼女には、感情のままに出かけることが、果たして、2人にとって良いことなのかは分からなかったし不安もあった。
 
出会った時から、出かけることとミズ ビーは、2人にとって切り離せないトピックだった。
 
『出かけよう!』
『ミズ ビーは?』
 
ある時は短く、ある時は延々と、連れて行くかどうかの2人の意見のバトルがあって、ミズ ビーは2人を見ながら不安そうに鳴いたり、吠えたり、擦り寄って来たりした。
 
連れて行けない時は、2人とも辛くなって楽しめなくて早めに帰ったこともよくあった。
 
彼女の愛犬から彼と彼女の愛犬になってからは、彼のミズ ビーに対する態度に変化があった。
 
『 ここに行ってみないか?』
『 ミズ ビーも楽しめるとこ?』
『 当たり前じゃないか?! ミズ ビーを連れて行けない所なんか、こっちから御断りだー!俺達は、パックなんだから!』
 
そんな会話を何度交わしたことか。。。。
 
「 ねぇ、出かけよう!」
 
彼女の誘いを受けて、彼は、重い腰を上げて歩き出した。
 
彼の後ろ姿を見ながら、
 
大丈夫、何とかなる、
 
そう、彼女は思った。