お似合い

車の中から海を眺めながら話し出して間も無く、SUVがすぐ隣に停まった。

 
「 いったい、どうして、俺達のすぐ隣りに停めるんだろう?」
 
駐車場を見回すと、ほとんど車は停まっていなかったので、彼女も彼の顔を見ながら、いつものように、目と手を使って、
 
『わからない』
『また〜?!』
『うんざり〜』
 
そんなサインを送った。
 
SUVのドライバーは女性で外に出て来て後席のドアを開けて、中に向かって何か言うと、子供達が3人ほどと、年配の女性が順番に出て来た。
 
女性は、出て来たみんなに車の前方にある岩の上に座るように言った。
 
彼は、
 
「なぜだよー? どうして、俺達の視界に入る所にいなくちゃいけないんだ? 海を見に来たのに、あいつらを見なきゃいけないなんて、最悪だよ」
 
そう言って、ウンザリした顔をした。
 
そして、バックミラーから後方を見て、
 
「これ、ジョークじゃないよなぁ?他のSUVがすぐ後ろに停まったぞー!」
 
と言ってビックリしているので、彼女がその方向を見て見ると、そのSUVから、ゾロゾロと人が数人、出て来た。
 
そして、その人達は、彼女が座っていたそばを通り、中にいた彼女を覗き込むようにして怪訝な顔で見た。
 
その後は、彼と彼女の車の前に立ちはだかって、お互いの顔を見ながら海を見だした。
 
「もう我慢できない」
 
彼がそう言ったので、
 
「どこか、他の所に行こう! この人達を覚えてしまうほど見たくないから!」
 
彼女は、そう言った。
 
彼は、素早く車をそこから出すと、2組のSUV家族達は、また怪訝な顔をして彼らを見ていた。
 
「あの人達、海を見に来たのじゃないみたいね。私達2人に、たった一時でも、静かで安らぐ時間を与えるもんかみたいな行動と態度だったもの。それに、どうして、あんなに、自分の家族を他人に見せたいのだろう? かわいそう。あの人達には家族しか誇れる存在が無いのかも。ねぇ、しばらく海岸線にそって車を走らせようよ! それが、私達にはお似合いみたいじゃない?」