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コクーン

彼が、

 
「 寒いなぁ〜 。急に、寒くなって来たように思わないか?」
 
と言いながら、ベッドの上でコクーンのように毛布で全身をカバーしている姿を見て、彼女は、
 
彼から『寒い』などと聞くことは滅多に無かったのではないかと思った。
 
ミズ ビーがいた頃は、『寒い』と言う言葉は、彼女と共に存在していたかのようだった。
 
『 寒〜い!ミズ ビーは寒くない?』
 
 
そう言って、ミズ ビーに走り寄り、正面から抱き付いて、ミズ ビーの顎を肩にのせ、ミズ ビーの背中を両手で何度も上下に摩って暖かくしてから、顔を見合って両手で顔を包むと、ミズ ビーは、すっかり垂れ目になって上向きになって大きな口を開けて笑顔に成って片耳を手に擦り付けて甘えて来たものだった。
 
ミズ ビーの体と息の温もりを感じて、幸せだった。
 

寒いって、最近、言わなくなったなぁ。。。。

 
彼女は、そう思いながら、
 
「 あなたは、ミズ ビーほど毛があるわけじゃないものね。」
 
彼に、そう言い返すと、彼は言葉を持たないコクーンに成った。