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子供達は観ている。

ミズ ビーが元気にしていた頃、ペットショップに定期的に来る獣医から予防接種をミズ ビーに受けさせていた。

 
一般の獣医のオフィスに行くと、ペットの健康に何も問題が無くて予防接種だけが必要な場合であっても、オフィス訪問として60ドルから80ドル位は当然のこととして加算される。
 
ペットショップに来る獣医は、その訪問費用はチャージせず、予約制では無く、決められた時間に飼い主がペットを連れて行き、その列に立って並ぶことになる。
 
その日、獣医から受けられるのは、予防接種、マイクロチップの挿入とコンサルティング、スタッフからは、フィラリア予防などの薬を買える。
 
獣医のオフィスに行くことも、そこに行って並ぶことも、ミズ ビーは嫌い、いつも悲痛な甲高い声で不安そうに鳴いた。
 
彼は、そんなミズ ビーを見て、仕方ないなぁ〜と言った顔をして、無視していた。
 
彼女は、しゃがんで、ミズ ビーを見ながら、撫ぜながら、
 
「 大丈夫! 心配しないで! マミーが一緒でしょう?! すぐに終わるからね。」
 
と言うものの、ミズ ビーの不安はおさまらず、彼女は、ミズ ビーに抱きついたり、話しかけたりが、待っている間、延々と続くことになる。
 
そして、そんな彼女とミズ ビーを呆れた顔をして見る人達もいる。
 
『 自分の子供の行いは、自分の責任 』
 
彼女は、そう思っているし、他人に、どう思われようが、母親である彼女が子供であるミズ ビーを守っていることをミズ ビーにわかってもらおうと必死になる。
 
そんな時、すぐ後ろから、高めの声で、
 
「 彼女、本当に、その犬を愛しているんだなぁ〜。そう、思わないか?」
 
それに応えるようにして、ちょっと低めの落ち着いた声で、

 

「やぁ〜っ、間違いない。」

 

と、とても若い感じの声がして、彼女が見て見ると、6歳位の男の子達が、彼女と同じようにしゃがんで、すぐ後ろにいた。
 
1人は、金髪ストレートヘアーで青い目をしていて、もう1人は、赤っぽくウェーブかかったヘアーで、目の下には、そばかすがあった。
 
「あんた、良い母親だよ!」
 

そばかす少年が頬をピンクにしながら言い、金髪少年が鋭く彼女を見つめながらうなずいた。

 
彼女は、彼らを子供達として扱うのは失礼だと思い、
 
「 サンキュー!」
 
と言って頭を下げた。
 
そのすぐ後に、彼が現れ、ミズ ビーの番がもうすぐだと彼女に告げると、
 
「 あいつは、ダメだ!」
 
「 俺も、そう思う!」 
 
2人の少年達が、そう話しているのを聞いて、彼女は、思わず静かに笑ってしまった。
 
そこを出てから、その時の事を彼に伝えると、 
 
「 それでかー? あいつら、俺をジャッジメンタルな顔して見ていたのは?! 全く、なんてガキ達だ!」
 
そう言って憤慨していたが、彼女は、
 
「 子供には、わかるのよ、良い人が! 」
 
と言って笑った。
 
そして、
 
 あの子達の母親達は、あの子達にとって良い母親達であれば良いけれど。。。。
 
そう願った。