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彼の4本足のゲスト

 
彼女は、4本足のゲストのマグネットを見つけたことを彼にメールした。
 
 
彼から、
 
 
『 インテレスティング 』
 
 

ただ一言、そうメールが返って来た。

 
 
彼女は、そのマグネットを彼の机の上に置いた。
 
 
そして、ミズ ビーと彼と一緒に滞在したホテルを思い出していた。
 
 
パピー時代から老年早期まで、ミズ ビーは彼と彼女とホテルのベッドをシェアすることが多かった。
 
 
足が不自由に成ったその後は、たとえ、彼か彼女がミズ ビーをベッドに上げても、落ち着かない声で鳴き出して下りようとしたので、抱き上げて下さなければならなかった。
 
 
上がっても、下りることを考えたら不安になったようだった。
 
 
それは、多分、それ以前に、ベッドから下りた時に足に痛みを感じたからだろうと、彼女は思っている。
 
 
可哀想に。。。。
 
痛くても、それを言えないで我慢していたに違いない。
 
 
動物は痛さを表現したら、それが弱みとなって致命傷になることを自然と知っている。
 
 
『 痛かったら、思いっ切り鳴いてもいいんだよ。獣医に連れて行ってあげるから。悪い所は早めに診てもらった方がいいの。マミーは、ミズ ビーが、ほんの少しでも痛い所があって欲しくないの。』
 
 
ミズ ビーの目を見ながら、彼女は言った。
 
 
ミズ ビーは、耳を下げて、申し訳なさそうな顔をして彼女を見た。
 
 
そんなミズ ビーがいじらしくてたまらなくなって、
 
 
『 マミーには弱みを見せてもいいの。弱みを見せても捨てたりしないから、安心していいの。』
 
 
そう言うと、ミズ ビーはリラックスした顔になり、口を開けて笑顔になった。
 
 
この子は、私の言うことをわかっている、ちゃんと理解している。。。。
 
 
そう思ったことが何度もあった。
 
 
一緒にドライブして、ホテルに着くと、ミズ ビーは部屋の中を隅々まで歩き回って嗅ぎながら入念にチェックした。
 
 
彼と彼女は、そんなミズ ビーを微笑みながら眺めた。
 
 
そして、
 
 
『 ミズ ビー、どう思う? 気に入った?』
 
 
いつも、そう訊いた。
 
 
ミズ ビーは、駆け回り飛びはねる時もあれば、全くその反対で、無愛想に、仕方なさそうに静かに座る時もあった。
 
 
そんなことを思い出していたら、彼が帰って来た。
 
 
そして、真っ先に机に向かい、彼女が机の上に置いたマグネットを見下ろし手に取って、笑顔になった。
 
 
それを持ったまま、彼女の方に向き返って、
 
 
「 これか〜? これのことかー? 」
 
 
と、訊いた。
 
 
彼女が、頭をコクリとすると、彼は、目をマグネットに戻して、ただ、それを見つめていた。
 
 
彼女は、彼とミズ ビーのプライベートの時間を邪魔したくないと思い、目を背けて、テレビを点けた。