子供

彼女は、子供を産んだことが無い。

 
 
彼も子供を持ったことが無い。
 
 
正直、彼女には、そのことについて彼がどう思っているかはわからない。
 
 
『 ねぇ、自分の子供がいないことを、実際のところ、どう思っているの?』
 
 
彼女は彼に、そう訊いたことがあった。
 
 
彼は、
 
 
『 なぜ、今頃、そんなことを訊いて来るんだ? いないものはいない、それしか言えないじゃないか? 』
 
 
ちょっとイラつきながら、そう言った。
 
 
そして、ミズビーの頭を撫でながら、
 
 
『 こいつが俺達の子供じゃないかー?!』
 
 
と彼女を見ないでミズビーだけを見て、そう言った。
 
 
ミズビーが居なくなってしまった今、彼は、どう思っているのだろう?
 
 
彼女は、そう思っても、もう、彼に訊くことは無いだろう。
 
 
それは、まるで、牢獄の重いドアを閉めて2度と会わない言葉の囚人に別れを告げるかのようで、彼女の心を冷たく凍らせるからだ。
 
 
 

                                                                                                  

 

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