こころの傷

 

ミズ ビーが7歳か8歳位のシニア犬と言われるようになってからは、ミズ ビーを独りでペットホテルに残して、彼と彼女が迎えに来るまで待っていてもらうようなことはしなくなった。
 
 
その1つの大きな理由に、犬が、その位の年齢になると、飼い主との間に強い絆が出来てしまっていて、ちょっとでも飼い主と離れる時間がとても辛いものになり、ましてや、捨てられたら、それは、飼い主として残酷きわまりない行いだと聴いたからだった。
 
 
それゆえ、その年齢か、それ以上の年齢で捨てられる犬を見る度に、彼女は胸が張り裂けそうになる。
 
 

ミズ ビーが元気いっぱいで若い時は、預けたことがあったけれど、残される時のミズ ビーの顔が悲痛な様相で、

 
 
『 まさか、、、、あなた、私をここに独りで置いて行くつもりではないでしょうね?!』
 
 
そう訴えているようで、たとえ、お金を払ってプレイ時間や散歩の回数を増やしても、受け取った後に、どのようなサービスを受けたかをミズ ビーの口から聞けるわけでもなく疑問が残るのと、ミズ ビーのその後の行動などから、かなりのストレスを受けているのは間違いなかったのもあって、いつも、彼も彼女も心苦しくなった。
 
 
と言っても、何よりも、不安で寂しく辛かったのはミズ ビーだった。
 
 

ミズ ビーを安心して預けられる人も近くにいなかったので、そうせざるおえなかったわけだが、

 
 
『 捨てるわけじゃないのだから 』
 
『 お金を出して、ミズ ビーのために安全な場所を確保すると言う飼い主としての責任を忘れたわけじゃないのだから。』
 
 
そんな風に、飼い主としての自己満足な言い訳を並べ立てていた。
 
 
ミズ ビーは、通常、預けられてから2日ほどはペットホテルの食事を口にしなかったそうだ。
 
 
可哀想に、、、
 
食べたら死ぬかもしれない、、、、
 
 
と思ったのかもしれない。
 
 
ホテルと言っても、彼と彼女と一緒に泊まるホテルとは全く違って、檻の中に入れられるわけだから、捨てられたのかもしれないと思っても不思議ではなかった。
 
 
可哀想に、、、。
 
 
そう言うことがあったら、彼と彼女は罪滅ぼしのために、いつも、ミズ ビーのために小旅行を決行するのだったが、ミズ ビーの心の傷は残ったままだったかも知れない。