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最低男

カフェのガラス ウィンドウの前方には公園がある。

 
 
その中で週末にはファーマーズ マーケットが開かれていて、特に天気の良い日は多くの人でいっぱいになって公園を埋め尽くしてしまうのだが、彼と彼女がその近くを歩いて通り過ぎた時には、平日の早い朝だったこともあって、2人と1頭の大型犬しかいるように見えなかった。
 
 
若そうな男性と女性が立ち話をしていて、ピュアブリードの大型犬が、その男性のすぐ横にいて、男性の顔を見上げていた。
 
 
彼女は、それを見て、自然と微笑んだ。
 
 
 
あの犬、朝の散歩をしてもらっているのね。
ヒンヤリとした朝の空気を吸いながら、公園の草の匂いを嗅ぐ、、、、
トイレも、そこで済ませて、今日1日が始まる、
そんな感じで、さぞかし気持ちが良いことだろうなぁ、、、、
 
 
 
そう思ったからだ。
 
 
そして、ミズ ビーとのそんな思い出が重なった。
 
 
カフェの中をガラス越しに覗いて見ると、何人かが、それぞれのドリンクや軽い朝食をテーブルに置いて、窓越しに外を眺めていた。
 
 
その人達は何を見ているのだろう?
 
 
彼女がそう思って、その方を見て、目に入ったのは、ちょっと前に通り過ぎた公園と公園にいた若い男性とピュアブリードの大型犬のペアーだったが、
 
 
そのペアーがいた場所は公園ではなく、カフェのガラス ウィンドウ越しのコンクリート ストリートだった。
 
 
彼女が、
 
 
まさか、、、、、、、
 
 
と、思いながら、そのペアーを見ると、そのまさかで、犬が体を丸ませ、お尻をカフェの方に向けて、トイレ タイムの最中だった。
 
 
犬が不安そうな顔をして振るえながらしているのを見て、彼女は、その犬を可哀想に思った。
 
 
そのペアーは、そのちょっと前まで、公園にいたのだ。
 
 
犬が残した物の量が少量だったら、公園でほとんど済ませた後に、まだちょっと残りがあったのだろうと思えるが、その大きさから、
 
 
いつから、我慢していたのだろう?
 
 
と、彼女を驚かせた。
 
 
その犬はミズ ビーとほとんど同じ位の大きさだったので、彼女には、そのことも予想できたからだ。
 
 
 
なぜ、その男性は、その犬が公園でトイレを済ませるまで待たなかったのだろう?
 
可哀想に、、、、その犬が車がすぐ近くを走り去るストリートで怯えるようにして振るえながら恥ずかしそうにしなければならなかったのは、その男性のせいだ。
 
 
 
他の犬や草の匂いがする朝の公園に連れて行けば、ほとんどの犬はトイレを済ませられる。
 
 
彼と彼女が、そのペアーを見た時も、男性は女性と立ち話をしていたが歩いてはいなかった。
 
 
 
話す時間があったら、犬のために歩けばいいのに、
あるいは、歩きながら話せばいいのに、、、、
 
 
 
2人が話している間、その犬は、ただひたすらに男性を見つめていた。
 
 
まるで、何か大切なことを知らせたいかのようにして、、、、
 
 
犬は、コンクリートの上で済ませた後、悪いことでもしたかのように耳を下げて困った泣きそうな顔をしていたが、彼女が微笑みを見せると、ちょっと驚いた顔をしてから、彼女の方に来ようとした。
 
 
しかしながら、その男性にリーシュを引っ張られ、怒られた。
 
 
男性は髪も服装もビシッと決めて、買ったら高そうなウェストミンスター ドッグショーにも出て来るようなピュアブリード犬とタウンを歩いていたから、公園の外を歩けば、ちょっと目立ちはしたけれど、彼女は、
 
 
 
髪や服装や一緒に歩く犬の種類や姿に、あれだけ気を配れて、時間をかける事が出来るのなら、どうして、その犬の気持ちに成って考えたり、時間を作ってあげれないのだろう?  
 
 
と、思った。
 
 
そして、
 
 
 
見かけが何だって言うのさ!
 
犬は物じゃない!
 
生き物だ!
 
あんたの犬は、あんたしか頼ることが出来ないんだよ!
 
 
 
そう言いたかった。
 
 
 
それに、カフェでくつろいでいる人達の前で、その犬のしていることを隠そうともせず、むしろ、見せたいかのような行動をし、それを犬のせいにしていたその男性は、
 
 
何が目的だったのだろうか? 
まるで、良きにしろ悪しきにしろ、他人に注目されたいかのように、、、、
 
 
 
「 かわいそうになぁ〜、あの犬、あんな自分勝手な男に飼われて。」
 
 
 
彼が、そう言って、下を向きながら頭を何度か横に振っていた。