盗まれた犬

ピットブル ドッグ レスキュー グループが、数日間、近くの路上を独りで彷徨っているピットブルがいるからレスキューして欲しいと通報を受けて、その現場に行って見た。

 
 
その噂の犬を見つけることは出来たが、ピットブルを何頭もこれまでにレスキューし一緒に生活した体験者の男女のメンバー達でさえ、アタックされそうになったりして苦労している姿がテレビに映っていた。
 
 
メンバーの1人の女性が出来るだけ犬の近くに行って地面に座って犬に向かって
 
 
 
『 安心して。私は、あなたの味方よ。あなたを助けたいだけなのよ。お腹、空いているでしょう? これ、食べていいのよ。』
 
 
 
そんな感じで優しく話しかけ、犬の近くにスナックを放り投げる。
 
 
犬は食べたいけれど、その女性を警戒して唸る。
 
 
その女性は、
 
 
 
『 困ったなぁ〜、、、あんまりいい状況じゃないなぁ〜、、、、どうすれば良いかなぁ、、、、急に立ったら危ないだろうし、、、、』
 
 
 
一人言を言いながら必死に落ち着こうとしている。
 
 
ピットブルのエキスパートみたいな人が、そう言って困っているのだから、只事ではない。
 
 
結局、時間を掛けて信用してくれるまで待ち、女性は、やっとリーシュをその犬の首に静かに掛けて、一緒に歩くことが出来た。
 
 
その犬が、どんな事情があって、野良犬として放浪していたのかは、その時は、誰も知らなかった。
 
 
レスキュー グループに歯向かって行ったほどの犬だったので、誰にも飼われたことが無かったのかもしれないと思わせるほど、人間を信用している風が無かった。
 
 
ところが、そうしてレスキューされて、周りには、その犬に優しい人達ばかりで、その犬が人間大好きに成るのには、そんなに時間を必要としなかった。
 
 
そして、それはそれは、スイ〜〜〜トな犬に成った。
 
 
顔付きも変って、犬相が、とても優しく成った。
 
 
過去に人間に歯向かって行っても、実際に咬むことは無かったから、あれは正当防衛みたいなもので怖くてたまらないのを隠すための強がりみたいなものだったのだろう。
 
 
そして、数ヶ月後、その犬の飼い主だと言う人からレスキュー グループに連絡があり、
 
 
なぜ、その犬が、独りで放浪していたのが分かった。
 
 
その飼い主曰く、泥棒に入られ、色々と家にあった物が盗まれ、物どころか、その犬までも盗まれてしまったそうだ。
 
 
レスキュー グループは、その後のその犬が独りで放浪するまでの過程を、泥棒、或いは泥棒達は、その犬を売ろうとしたが売れなかったか、足手まといになって捨てたと推測していた。
 
 

それは、犬を盗む泥棒には、よくある事だからだった。

 
 
人間にフレンドリーだった家庭犬だった犬が、ある日、突然、見知らぬ侵入者によって誘拐され、物のように扱われ捨てられたら、人間不信に成るのも無理は無い。
 
 
その飼い主は、何の気なしにテレビを観ていて、自分の家の犬に間違い無いと思ったそうだ。
 
 
飼い主がマイクロチップを犬の体に挿入していれば、もっと早くに犬を取り戻すことが出来たはずだが、まぁ、一応、ハッピーエンドと言うことだった。
 
 
その犬にとって、その家に戻るのがハッピーエンドなのかどうかは分からないけれど、ハッピーエンドがその犬にとって永遠となることをテレビを観た多くの人達が願っているに違いない。