親友

子供の時から、多くのペット達に囲まれて育ち、多くの納得の行かないペット達の死に憤慨し続けた女性が書いた本を彼女はベッドの上で読んでいた。

 
 
その女性の体験記の中には、
 
 
子供の時にペットとしてファミリーからプレゼントされた子牛が大きくなってから或る日、突然、いなくなっていて、親に尋ねると、牛は、他のファミリーと暮らした方が幸せだと思ったので、そのファミリーに育ててもらうことにしたからと言われた。
 
 
が、実際には、屠殺場に売られたことが後で分かったり、
 
 
祖父母が亡くなって、彼らの子供達が彼らの住んでいた家を売り、其処に残された若い大型犬を引き取ったが、その犬は以前の家に戻ろうとして家出して、その距離が結構あったのと暑い季節だったこともあり、途中で息絶えて亡くなってしまったり、
 
 

車に轢かれた見知らぬ犬に駆け寄り助けてペットにしようと思ったら、その場で亡くなってしまったりと、

 
 

著者にとっては、それぞれのペットと暮らす期間が短く、出会いがあって死がすぐに訪れたことから、ペットを持つことに希望が持てず、ペットは死ぬものとしてしか思えない時期が長くあった。

 
 
彼女も、子供の時、似たような経験をした思い出がある。
 
 

金魚と鳥は、飼っても飼っても、すぐに死んだ。

 
 
アヒルは、家族と旅行中、信頼していた親戚に預けたら、猫に食べられてしまった。
 
 
生まれて初めて友達になった野良犬は、毎朝、彼女に会いに来てくれたが、ある日、父親に見つかってしまい怒鳴られ家の庭から追い出され、その日から来なくなった。
 
 
彼女は、その犬に名前を付けて呼んでいた。
 
 
幼かった彼女には、ペットの定義など無く、その犬は親友だった。
 
 
今でも、彼女は、その犬のことを思い出すたびに、胸が苦しくなって涙が出る。
 
 

母親に抱かれた記憶は無いのに、その犬とハグして、その時に感じた犬の体温の暖かさは憶えている。

 
 
 
『 ずーっと一緒にいたかった。
 
 
朝も、
 
 
昼も、
 
 
夜も、
 
 
寝ている時も、
 
 
そして、
 
 
その犬が息を引き取る時も。』
 
 
 

涙が両耳を通り、シーツの上に落ちても、彼女は、しばらく、天井を見つめた。