ハイヒールとスニーカー

仔犬のミズ ビーと出会った時は、スカートにハイヒールと言った、彼女にとっては、その頃の定番ユニフォームみたいな格好をしていた。

 
 
 
翌日、ミズ ビーと隣のアパートまで一緒に歩いた所で、掴んでいたミズ ビーのリードに、突然、強く引っ張られ、青空を一瞬、見た後に尻もちをついて、ミズ ビーの吠える声の方を見ると、ミズ ビーの真正面に、信じられないくらいスイートな白猫が、キスでもするかのようにミズ ビーの顔に口を差し出していた。
 
 
 
ミズ ビーが、その白猫を囓ったら大変だと思い、立ち上がると、庭仕事をしていた女性が悲鳴を挙げながら白猫をすくい上げた。
 
 
 
ミズ ビーは、二本足で立ち上がってジャンプして、白猫を見ながら鳴いた。
 
 
 
女性は、彼女の履いていたヒールのある靴を見て、
 
 
 
「  その靴じゃ、この犬をコントロール出来ないわね、、、、。」
 
 
 
そう言って静かに笑った。
 
 
 
彼女は、
 
 
 
「 全く、そうみたいですね。」
 
 
 
そう言って、下を向いて、溜め息をついた。
 
 
 
その日から、ヒールのある靴は全てドアの近くに並べられ、ただ大人しく彼女に履いてもらうのを待っているかのようだった。
 
 
 
が、それから間も無く、ミズ ビーの猛攻撃にあって次々とデストロイされてしまった。
 
 
 

アーーッ、また、靴を隠すのを忘れてしまった!

 
 
そして、誰も、いなくなった、、、、か?
 
 
 
 
そんな風に、靴を人化して、彼女は、ミズ ビーを横目にしながら溜め息をついた。
 
 
 
が、すぐに、可笑しくなって笑った。
 
 
 
大切にしていた靴のコレクションを台無しにされても、ミズ ビーの元気いっぱいな姿を見たら、それらは過去を引き摺った古品でしかないように思えたからだ。
 
 
 
彼女が、大声で笑い出したので、ミズ ビーは彼女の方に飛び跳ねながら、やって来た。
 
 
 
そして、彼女の手元にあった靴に噛り付いて取ろうとした。
 
 
 
「 ヒールのある靴は、私達には必要無いって言いたいのでしょう? そうだね〜、一緒に歩くのに、ヒールは、いらないものね。」
 
 
 
彼女は、その靴をゴミ袋の中に放り投げた。
 
 
 
そして、16年以上、ハイヒールを履くことは無かった。
 
 
 
 
 
最近、彼女は、ハイヒールを買おうと思って、シューストアーに入った。
 
 
 

気がついたら、スニーカーのある場所に立っていて、