読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

限りなくホワイトなフォーム

洗濯機の中が、ちょっと黒ずんでいたので、ブリーチ以外は何も入れずに、高温レギュラーモードで洗うことにした。

 
 
 
そして、見ていたら、どんどん、ホワイト・フォームでいっぱいになり、彼女は、それを見つめないでいられなくなった。
 
 
 
「 ホワイト・フォーム、、、、 限りなくホワイトなフォーム、、、、」
 
 
 
+    +    +    +    +    +    +    +            +    +    +    +    +
 
 
 
 
ミズ ビーが、この世からいなくなった前日、それまで見たことの無いほどの真っ白のフォームを大量に吐いて、彼女がミズ ビーの頭と体にタッチして、ミズ ビーの名前を叫ぶと、ミズ ビーは、それに気付くようにして、一瞬、目を大きく開いて、フォームは止まった。
 
 
 
そして、その後、1番近くに位置していたペットの救急病院に連れて行った。
 
 
 
獣医が、大量のドラッグをミズ ビーに投入して、ミズ ビーは意識を失い、深い、深〜い、夢の中に行ってしまった。
 
 
 
生死に関わる事だからと言って、彼と彼女の、ミズ ビーのそばにいたいと言う願いは獣医に却下された。
 
 
 
 
『行ったことも無い所で、彼と彼女から引き離されて、見ず知らずの人達に囲まれて、ミズ ビーは、生きる力を失ってしまったのではないだろうか?』
 
 
 
 
彼女は、そう思っている。
 
 
 
そして、彼も、そう思っているだろうと思っている。
 
 
 
なぜなら、
 
 
 
「 あの時は、俺達には、あれしか出来なかったんだ。、、、、結局、俺達は、ビギナーだったんだよ。」
 
 
 
そう言って、悔しそうにしていたからだ。
 
 
 
洗濯機の中のホワイト・フォームが揺れるのを正面から見ながら、彼女は思わず、
 
 
 
「 ミズ ビー!」
 
 
 
と言った。
 
 
 
 辛かったことでも、ミズ ビーがいた時の出来事は、彼女にとっては限りなく大切な想い出だった。
 
 
 
今だに、卵白を泡立ててメレンゲを作ることは出来ない。
 
 
 
あの時のことが想い出されて、ただひたすらに見入ってしまうからだ。
 
 
 
ホワイト・フォームを見た、そんな時は、時間があっても無くても、どうでも良くなり、
 
 
 
ホワイト・フォームが彼女とミズ ビーを繋ぎ合わせ、
 
 
 
ミズ ビーが、生きていた頃とは違ったフォームで、彼女の近くにいるように思えるのだった。
 
 
 
 
 
『 ミズ ビー、辛かっただろうねー。ミズ ビーが幸せだった時も、苦しかった時も、マミーは、忘れない。それが一緒に生きた証だから!』
 
 
 
 
彼女は心の中で、ミズ ビーに囁いた。
 
 
 
洗濯機の中のホワイト・フォームは、どんどん少なくなって消えて行った。