下の目線で考える。

オーブンの表面下の床に落ちていた食品のカスが気になって、彼女は屈んでペーパータオルで拭き始めた。

 
 
 
わぁーっ! きったな〜い! こんなにカスが残っていたなんてー、
 
 
 
そう思いながら、ある程度、彼女なりに納得するまで拭き取ってから立ち上がり、ふと後方を見ると、一匹の蜘蛛がパニック状態で行く方向を決められず、右往左往していた。
 
 
 

見つけてしまった以上は、やはり、殺すべきか?

 
 
 
一瞬、そう思ったが、
 
 
 
いや、殺してはいけない、
 
 
 
そう思って、何も見なかったかのようにして、その場を去った。
 
 
 
そして、椅子に腰掛けて、蜘蛛が安全な場所に行ってくれることを願った。
 
 
 
掃除をしなかったから、食べ物の匂いを嗅ぎつけて蜘蛛は来たのだろうから、彼女は、おびき寄せるようにしておいて殺すのは卑怯な気がした。
 
 
 
それに、
 
 
 
あの蜘蛛が、ミズ ビーの化身だとしたら?
 
 
 
そうも思えない事は無かったし、
 
 
 
それまでの経験から、掃除をすれば、蜘蛛は自然に居なくなっていた。
 
 
 
小さくても、細い足をしていても、必死に逃げて生きようとしている、そんな生き物を殺すなんて出来ない。
 
 
 
ミズ ビーが彼女の前に現れるまで、彼女は下を見て歩くことなど、ほとんど無かった。
 
 
 
前を向いて、
 
Go! Go! Go!
 
過去は過去、振り返らない!
 
今が一番大切で、
 
未来へ向かって、
 
Go! Go! Go!
 
 
 
前向きだったかもしれないが、社会に対しても、他人に対しても無知だった。
 
 
 
Go! Go! Go! が出来なくなった時、彼女は、それまでの Go! Go! Go! も、その先の Go! Go! Go! も無意味のように感じて、STOP する事の大切さを学んだ。
 
 
 
だが、STOP する事によって、その先の Go! が出来なくなり、
 
Down! Down! Down! 
 
と、深い穴の中に落ちて行くように沈んで行った。
 
 
 
そんな時、、、、、、、
 
 
 
彼女を見つけ、その穴から引き出してくれた救助犬が、ミズ ビーだった。
 
 
 

救助された時に見た彼女にとってのサンシャインは、ミズ ビーだった。

 
 
 
その後、15年近く、ミズ ビーは彼女にサンシャインを与え続けた。
 
 
立つことも歩くことも出来なくなって、寝たきりになったミズ ビーに近付くために、彼女が屈むと、それまで見なかった虫なども見ることが多くなった。
 
 
 
人にしても、犬や猫の動物にしても、病気になったり、老いたり、死ぬ時は、みんな、他人の目線の下に位置することになる。
 
 
 
ミズ ビーと一緒に暮らし始めて、ミズ ビーを見る時は、いつも、下を見る形になったが、人間達やビルディングだけを見ていた時には気付かなかった下方にある物や存在に気が付いて驚いた。
 
 

f:id:AoiFox:20161022150541j:plain

 

 

ミズ ビーは、下を向きながら歩いて、色々な物を見つけ、彼女を見上げた。

 
 
 
そして、彼女も、そんなミズ ビーの目線になって考えようと思った。
 
 
 
下を見ると、見たくない物を見てしまうこともあるが、下の目線になって見て考えると、多くの大切なことや存在を知ることになる。
 
 
 
体が思うように動かなくて苦しんでいたり、助けを求めている人や動物を見る時、ただ下を向いて見るのではなく、それらの目線になって見て考えることが、どんなに大切なのかをミズ ビーは、彼女に教えたかったのかもしれない、
 
 
 
今、彼女は、そう思う。
 
 

 

(応援して頂けると嬉しいです。)

 にほんブログ村 犬ブログへ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ