お料理

 

彼女は、

 

子供の時から

 

外食が好きだった。

 

 

他人の作る食べ物を

 

口にすることに

 

何の疑いも持っていなかった。

 

 

だけど、

 

今では、

 

他人の作る食べ物が

 

汚いものに思える。

 

 

ミズビーがいた時は、

 

外食ばかりしていた。

 

 

年老いたミズビーは、

 

彼か

 

彼女の

 

匂いがするものしか

 

食べなくなった。

 

 

旅行中にあずけたところで、

 

酷いものを食べさせられて

 

他人を信用できなくなったのかもしれない。

 

 

オープンして間も無くて

 

キレイに見えたから

 

信用したのは

 

愚かだったと

 

彼女は思う。

 

 

あそこに迎えに行った時は、

 

ずいぶん

 

長い間

 

待たされて、

 

 

ミズビーが

 

やっと

 

連れて来られた時は、

 

耳の先が欠けていた。

 

 

両目に

 

いっぱい

 

涙が

 

たまっていて、

 

顔が

 

湿っていた。

 

 

きっと、

 

辛い目に

 

あったんだ。

 

 

後悔しても

 

しきれない。

 

 

彼女が

 

動物に

 

絶対に

 

しないことを

 

他人が

 

しないとは

 

限らない。

 

 

ミズビーを飼うと決めてから

 

ミズビーに約束した、

 

ミズビーを守り続けることは

 

あの時、

 

果たせなかった。

 

 

今になって、

 

彼女は、

 

ミズビーが、

 

他人から

 

もらった食べものを食べたくなかった

 

気持ちが

 

よくわかる。

 

 

あぁぁぁぁ、

 

そう言うことだったんだ

 

 

ミズビーが

 

信用できた人達は、

 

彼と彼女だけだった

 

って

 

彼は言う。

 

 

そうだろうね、

 

家族だったのだから。

 

 

外食する度に

 

お腹が痛くなって、

 

おかしいなぁ

 

って思いだした。

 

 

自分で

 

お料理したら

 

お腹は

 

痛くならなかった。

 

何度、

 

お料理しても

 

痛くならなかった。

 

 

彼に

 

お料理してもらっても

 

痛くならなかった。

 

 

また外食したら、

 

以前のように

 

痛くなった。

 

 

外食しないで、

 

家で、

 

お料理していたら、

 

その間も

 

ミズビーと一緒にいれたのにね

 

って

 

彼は言う。

 

 

お料理しながら、

 

そうだね

 

って

 

彼女は言って

 

涙ぐむ。